オオクワ新ブランド「Fusion」の解説です。

 

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・新たなる幕開け

 

 

夢の極太白眼90ミリ美形個体である「Thoroughbred」を作りたい。そんな想いからThoroughbred作出プロジェクトが始まりました。

 

・「kawajiri」

表皮が美しく、アゴ、体型などのバランスを兼ね備えた美形血統

コードネーム:「K」

 

 

・「Black Grace」

オオクワの特徴であるアゴを極限まで太くさせた極太血統

コードネーム:「B」

 

 

・「B-Fang」

大型作出を可能にするために、より大きくなる要素を持つ大型血統

コードネーム:「F」

 

 

・「White Grace」

自然下では淘汰されやすく飼育下のみで存在する白眼(もしくは赤眼)を

さらに太くさせた極太白眼血統

コードネーム:「W」Red Grace(赤眼)の場合「R」

 

 

 

 

「Thoroughbred」を創るため、この4つを交配し新たな特徴を持った個体たちを創りました。「Fusion」の誕生です。

これは単なる交配ではなく、血統の融合です。そんな想いでFusion(融合)と名付けました。特徴を持った血統を融合させる事により、素晴らしいFusionが誕生しました。

 

 

Fusion誕生!

[kawajiri]+[Black Grace]= Fusion.KB

・Fusionの表記について

Fusionは4つの血統(少なくても2つ以上の血統)が合わさって作られております。

その掛け合わせは無限であり、累代が進むほど複雑になってきます。

そこでFusionでは両親の血統の種類と血量を示す必要があります。

例えば「Black Grace」を♂親とし「B-Fang」を♀親として交配した子供は、Fusionの後に♂親と♀親のコードネームを付けて「Fusion B/F」となります。

さらにこの「Fusion B/F」を♂親とし「kawajiri」を♀親とした子供は「Fusion BF/K」となります。

つまり、すべての個体は「Fusion ♂親/♀親」という名前が付きます。

しかし、累代が進むとすべてのコードネームが付き、あまり意味のないものとなってしまいますので、4つの血が合わさった時には「Fusion M」という名前が付きます。

「Fusion M」は「Fusion Master」の略で、ここからが本当の融合の始まりです。

また、「Fusion」すべての個体はそれぞれの血統の特徴を血量に見立て表わします。

これこそがFusionが存在する意義なのです。

・血量の表わし方について

まず、血統を数値に置き直します。個体の数値の合計は常に100とします。

(小数点第2位以下は4捨5入しますので若干前後する場合があります)

Black Graceであれば極太血統ですので極太の血を100とします。

B-Fangは大型の血を100とします。上記と同様な交配をしたとします。

Bが100、Fが100、合計200ですが、合計を100にした率に換算すると、B50、F50になります。

つまり「Fusion B/F」は極太の血を50%、大型の血を50%受け継いだ個体となります。同様に「Fusion B/F」に「kawajiri」の♀を交配すると、「Fusion BF/K」は(B25、F25、K50)となります。

「Fusion BF/K」をさらに太くしたい場合、それを基にBlack Graceを交配させます。すると次世代「Fusion BFK/B」は(B62.5、F12.5、K25)となり、Black Graceの血が濃い個体と把握することができます。

 

さらに今度は「Fusion BFK/B」にWhite Graceを交配させてみます。

すると次世代「Fusion BFK/W」は(B31.3、F6.3、K12.5、W50)となります。

ここで初めて4つの血が入りました。「Fusion M」の誕生です。

※ここで注意して頂きたいのはもWhite Grace(Red Graceを含む)を交配させたとき、もちろんどのステージで交配させてもいいのですが、劣性遺伝(表に現れない)である白眼を交配すると、次世代は白眼の遺伝子を持った黒眼の個体になるということです。

この個体を交配すると次世代は遺伝の法則により白眼、黒眼、白眼の遺伝子を持った黒眼という3つが誕生します。

その個体が黒眼か白眼の遺伝子を持った黒眼かを見分けるためにはもう一度White Graceを交配し、出てきた個体で確認します。したがって、Fusionの系統とは別にもう一つラインが必要になってきます。

・10ページの内容を図解してみました。

このようにして「Fusion」は次世代において、太くしたい場合はBlack Graceの血が濃いもの、大きくしたい場合はB-Fangの血が濃いものと足りない部分(血統)を次世代に補っていき理想の個体、つまり「Thoroughbred」に近づけていく新しいオオクワ飼育の試みです。もちろん次世代に現れる個体は言葉で表わすほど簡単なものでなく、複雑な遺伝の結果であることはわかっております。しかし、目的は遺伝を研究するのではなく、理想の個体を創るために探求することです。

・最後に

90ミリを越える極太白眼「Thoroughbred」など絵空ごとであると思われる方もいるかもしれません。しかし、オオクワ飼育が広まってきた20~30年程前は、70ミリも滅多に出ないサイズでした。その頃、何人が80ミリや極太のオオクワなど夢見たでしょうか?それが今では不可能なサイズではないことが立証されてます。だからこそ何十年後かに、そんな個体を目にすることができればどんなに素晴らしいことでしょうか。そんな夢を見ながらオオクワ飼育を続けていける喜びを分かちあいたい。それこそがオオクワ飼育をこれからも続けていける理由だからです。