クワガタ幼虫を襲う天敵達の特集です。
生態を知ってしっかり対策。
・肉食性幼虫
コメツキやコクヌストなどの肉食性の幼虫は朽木の中の腐朽材食性の幼虫を捕食します。環境にも慣れやすく鋭く尖った顎を武器に腐朽材食性幼虫に襲いかかります。
クワガタの中でも気性の荒いヒラタ系の幼虫や自分より遥かに大きいカブトムシの幼虫でも彼らは捕食します。
すべての幼虫にも言えることですが、成長期には最も食欲が旺盛でつぎつぎとクワガタの幼虫を襲い、やがて終令幼虫になるにつれて食欲も低下してきます。
肉食性幼虫の顎の形状から見ると材を噛み砕きながら移動するのは苦手なようです。
そのため成虫はキクイムシなどの掘った外部とつながる坑道に産卵すると思われます。
そして孵化した幼虫は他の幼虫の坑道を利用しながら材の中を移動して他の幼虫を捕食します。
※当社のように卵、初令幼虫で取り出す場合はほとんど影響はありませんが、材飼育や産卵木を1~2ヶ月保存してから幼虫を取り出す場合は要注意。クワガタムシは肉食性幼虫が入っている産卵木にも産卵します。
・コメツキムシ幼虫
コメツキムシ幼虫の特徴
体は細長い円筒形で尾突起がないものもいる。
腹部第10節に1対の突起があり、刺毛が関節に生えている。
顎は湾曲があり鋭い顎が唇にかくれているものもいます。
体も硬く外敵からも身を守るのに適しています。(画像参考)
・コメツキムシ幼虫の食性
産卵木に生息するコメツキムシの幼虫は肉食性のものが多く、鋭い顎で体表に突き刺し体液を吸いながら捕食する。
コメツキムシは顎の形状から見ても材を掘り進むのが苦手なので、腐朽材食性の幼虫などの坑道を利用しながら捕食するものが多いようです。
乾燥にも強く、肉食性なので糞の量も少なく、糞は微生物に分解されやすいのかあまり目に付くことはありません。
←コメツキが幼虫を襲っているところです。
小さな幼虫ですが成長期で食欲旺盛です。
小さいですがこれから大きくなります。
大きく成長しました。1年以上飼育していますがいまだ羽化しません。
ウバタマコメツキかサビキリコの幼虫だと思います。
お腹も鎧のようです。下腹部(肛門)にある鉤は坑道の壁面に引っ掛ける滑り止めです。
綺麗なオレンジ色ですが肉食性です。
オレンジ色の肉食性幼虫を材にもどし数ヶ月後に材を割ると蛹化中でした。
蛹化中の個体を材にもどしたらすぐに蛹化して4.5日で羽化しましたが、只今、逃亡中です。
・オオナガコメツキ
学名:Elater sieboldi
暗褐色で細長く、背面は毛で覆われている大型のコメツキムシ。
成虫は樹液や灯火に集まり、
幼虫は朽木(産卵木)の中で幼虫などを食べて育つ肉食性幼虫です。
・【腐朽材食性幼虫】 キマワリ
キマワリ幼虫の特徴
体は細長い円筒形で体は茶褐色で硬い皮膚に覆われている。
顎は短く太く坑道内を素早く移動する。お尻に凹みがあるのが特徴です。
(画像参考)
・キマワリ幼虫の食性
キマワリの幼虫は腐朽材食性で捕食する為にクワガタの幼虫を狙うことはなく、自然界では軟腐朽菌(泥枯れ)にて朽ちた水分の多い木で多く見かけます。
フラス(木屑状の糞)の形状で他の幼虫と区別がつき、外部に排出する習性があるようです。
・ゴミムシダマシの特徴
体は細長い円筒形で顎はクワガタ類ににている。
体は白色系で頭部は薄いオレンジ色です。
蛹化するときに鉤状の足でしっかりとつかまり蛹化する。
・ゴミムシダマシの食性
ゴミムシダマシの幼虫は腐朽材食性ですが、
気性はキマワリの幼虫より少し荒く攻撃的である。
幼虫は粒状のフラスを材の中で1箇所にかためたり、
外部に排出する習性があります。
フラスの形状で他の幼虫と区別がつきます。
白色腐朽菌にて朽ちて乾燥した材を好み、
ゴミムシダマシの中には乾燥した砂漠でも生きていけるものもいます。
・オオゴミムシダマシ前蛹
・オオゴミムシダマシ蛹
・オオゴミムシダマシ成虫
・ルリゴミムシダマシ幼虫
・ルリゴミムシダマシ成虫
・カミキリ幼虫
カミキリ幼虫の特徴は円筒形で体は白色で顎は小さくて短い。
他の幼虫を好んで襲いませんが、他の幼虫と同様、
乾燥からくる水分補給やナワバリなどで争う場合がある。
(画像参考)
・カミキリ蛹
3種類の幼虫を実験しましたが、
環境がよいのかクワガタムシの幼虫を襲うことはありませんでした。
・ツマグロハナカミキリ
学名:Leptura modicenotata
幼虫は朽木を食べて育つ、成虫は花に集まり、よく飛び回る。
上翅は黄褐色をしており、地域変異がある。
・肉食性幼虫とオオクワガタ
コメツキの幼虫は自分より大きなオオクワガタの幼虫を一日で食べつくす暴食幼虫です。
気性も荒く攻撃的で鋭い顎で後方から攻撃します。
・ゴミムシダマシとオオクワガタ
はじめはゴミムシダマシがオオクワガタを威嚇していましたが、数ヶ月経過しても捕食することがありませんでした。のちにゴミムシダマシが同じ容器内で蛹化をはじめました。
双方は腐朽材食性なので性格の違いで喧嘩はするようですが、好んで捕食することはありません。顎の形状も似ています。
・キマワリとオオクワガタ
双方の性格はおとなしくお互いが出会っても避けているようです。
材の中や色々な飼育をしましたが双方ともお互い危害を加えることなく成長しました。
・肉食性幼虫とゴミムシダマシ
気性の荒いゴミムシダマシも数日で食べられます。
・結果
腐朽材食性の幼虫は好んで他の幼虫を襲うことはないようです。
しかし、腐朽材食性の幼虫(クワガタ幼虫も含む)も乾燥した環境が続くと水分補給のために襲うことがあるので乾燥には注意しましょう。
また肉食性の幼虫は材から出てきてマットの中いる卵や幼虫を襲うので、直接材に産卵しない種でも材を使用してブリーディングさせる場合は注意が必要です。
材の外部から見て産卵痕.坑道.フラスの確認できる材は肉食性の幼虫が混入している可能性も高く、材飼育や幼虫を2~3令で採り出す場合は確実に肉食性の幼虫を退治しましょう。