山の中は、危険がいっぱい。
・ニホンマムシ
危険度:★★★★
クサリヘビ科 学名:Agkistrodon blomhoffii blomhoffii
やや太短い体型です。体色は赤色と黒色の斑模様です。頭は三角形に近い形をしていますが個体差があるようです。
夜行性で森林や田畑に生息します。高い木に登っている姿は確認したことがありません。
今まで採集時に確認したマムシは木の根元付近に多く、外灯に集まる昆虫を求めて現れるカエルなどを捕食する為に外灯の近辺に現れる。
好んで人間を襲うことはありませんが、刺激を与えると身体を震わせ噛みつきます。
木に近寄る時は根元あたりを見渡し洞の中や見えない場所には手などを入れないようにしましょう。
8~10月に産卵期を迎え最も攻撃になります。
※この画像はBaikada様よりご提供いただきました。
"(c) Baikada" http://baikada.com
・ヤマカガシ
危険度:★★★
ナミヘビ科 学名:Rhabdophis tigrinus
体色は全体に暗いオリーブ色で、黒と赤の斑模様です。
森林や田畑で最も普通に見られ、特に川沿いや田んぼの脇にある台場クヌギに多く観られます。
木に登る姿も確認しておりますが、逃げ足も速く近づくとすぐに逃げ出します。
そんな臆病なヤマカガシですが、毒性はマムシより強くハブの20倍の毒を持つと言われています。
しかし、毒牙はアゴの奥にあり通常は噛まれても毒牙には達しません。
危害を加えたりすると、ウロコの隙間から毒液を噴出します。その毒が目に入ると失明する場合があります。血清も非常に少なく、限られた場所にしか保管されいおりません。 触ったり誤って踏まないかぎり噛む事はありません。
※この画像はBaikada様よりご提供いただきました。
"(c) Baikada" http://baikada.com
・ヘビ類に関する対処法まとめ
★もし噛まれたら毒ヘビ(マムシ)に噛まれるとずきずきとした痛みが続き、傷口が腫れる。
止血や血を吸い出さず、応急処置としては、噛まれた箇所を動かさないで、早急に病院に行きましょう。ヘビに噛まれた時間や毒ヘビの特徴を覚えておきましょう。
実際以前、知人が大阪の金剛山近辺にてマムシに指を噛まれました。そのときの体験を話してくれましたので、下記にて簡単にご紹介します。
知人談:「最初は針でチクリと刺した感覚でしたが、すぐに傷口が腫れだして1時間後には腕がパンパンに腫れ上がりました。
スグに病院に駆け込んだのですが血清がなく初めは噛まれた毒蛇の種類も分からず…。(なお、知識のある病院だと傷口でヘビの種類が分かるらしいです。)
数時間後に大阪市内の病院に搬送されました。処置が遅れて3週間も入院しました。
腫れも1週間以上も続き、もう少し処置が遅れたら腕を切断するところでした。私も噛まれた腕を見たのですがビックリするぐらい紫色に腫れ上がってました。」
現在も時々噛まれた傷口がしびれるそうです。
厚生労働省の人口動態調査によると、毒ヘビに咬まれて年間約10人前後ほどが 毒ヘビの被害で死亡しています。
★毒が目に入ったときの応急処置
ヤマカガシを触ったり刺激を与えると毒液が体鱗の隙間からでてくる。この体からにじみ出た毒が(強く圧迫すると50cmくらい飛ぶことがあるそうなので注意が必要)目に入ると、強烈な眼症状を起こすそうです。
毒が目に入ったときはすぐに大量の水で洗い流すようにして、すぐに病院に行きましょう。
下記に連絡をすれば治療のアドバイスや血清のある病院を紹介して頂けます。
・日本蛇族学研究所
〒379-23 群馬県新田郡薮塚本町
tel 0277-78-5193
・筑波中毒110(9時~17時受け付け、12/31~1/3休み)
tel 0298-52-9999 無料
・大阪中毒センター(24時間受け付け)
TEL 06-871-5662 有料2000円
※この画像はBaikada様よりご提供いただきました。
"(c) Baikada" http://baikada.com
・スズメバチ類
危険度:★★★★
スズメバチ科 学名:Vespa
台場クヌギに集まる危険なスズメバチは主にオオスズメバチ、キイロスズメバチなどです。この2種はスズメバチ類の中でも強力な毒を持ち、人への攻撃性も強いハチで、4月~11月にかけて樹液に集まります。
樹液を吸っている蜂に刺激を与えなければ攻撃してきませんが、近くに巣があれば集団で襲ってきます。特にキイロスズメバチはオオスズメバチより俊敏に飛び回り刺される可能性が高いハチです。9月~10月が最も攻撃的になります。
一度刺されると抗体ができ、2回目に刺されると※1.アナフィラキシーショックで死亡する場合もあります。
もしも刺されたら、※2.抗ヒスタミン軟膏を塗りすぐに病院に行きます。
厚生労働省の人口動態調査によると、毎年20~30人がハチの被害で死亡しています。
※1.アナフィラキシーショックとはハチに刺されて死ぬのは毒そのもののせいではなく、ほとんどが毒のアレルギー症状が引き起こされるためである。
刺されると体内に「Ige抗体」というのができ、それが過剰なアレルギ-反応を引き起こす症状のこと。
※2.市販の抗ヒスタミン軟膏ウナコーワやムヒなどが有名。抗ヒスタミン軟膏はヒスタミンが出てくるのを抑え、アレルギーを抑えます。
・ムカデ
危険度:★★
オオムカデ目 学名:Scolopendromorpha
夏場は樹木の洞や樹皮に生息して樹液に集まる昆虫や蛾などを捕食し、冬場は朽木などにて越冬します。
見えない樹皮や洞に指を入れて噛まれることがあります。小型の種類に噛まれても毒性は弱くかぶれる程度ですが、大型のオオムカデの種類は大きな顎と強い毒性を持ち、噛まれると激しい痛み、発赤、腫脹があり重症の場合は潰瘍や発熱も引き起こします。中でもアカズムカデの毒性が最も強力で、もし噛まれたら、抗ヒスタミン軟膏を塗りすぐに病院に行きましょう。
・ツキノワグマ
危険度:★★★★★
食肉目クマ科 学名:Ursus thibetanus
能勢地方の山中にも生息していて、年間数頭のツキノワグマが確認されています。本州最大の野生動物で、普通は単独生活をします。えさは広葉樹の実や昆虫、カエル、哺乳類まで食べる雑食性です。冬場は大樹の大洞や根、岩穴にて冬眠する。
もし突然鉢合わせになった場合は、人間を襲うことがあります。出会っても恐れず、走って逃げないこと。
・イノシシ
危険度:★★★
偶蹄目 イノシシ科 学名:Sus scrofa
野生のイノシシは市街地にまで食べ物を求めて出没したり、農地などの人家の近くにも出没します。
オスは単独で行動し、メスは子供と一緒に暮らします。雑食性で基本的に何でも食べるようです。 大型のものは200kgを超えるものも捕獲されています。
イノシシは下の牙を使い突進してきます。以前に犬のセントバナードが突進してきたイノシシに体当たりされて死亡するケースがありました。
特に子どもを連れた母親や手負いのイノシシには注意が必要です。襲われたら木の上などに登って逃げましょう。
・野犬
危険度:★★
山中に入ると野犬に出会うことがあります。
普通は飼い犬が無責任な飼い主より捨てられたり放し飼いにされたものが多く、(時々首輪をしている個体も見られます。)基本的に吼えて威嚇しますが、攻撃性もあまりなく、出会うと逃げてしまいます。
しかし、中には野生化した犬に出会うこともあり、彼らは数頭の群れをつくり行動し、イノシシや捨てられた飼い犬達を襲って生活しています。
もし山中で野犬に出会うケースがあれば、群れに囲まれる前に素早く逃げましょう。写真はちょっと可愛らしい犬ですが、人間の指を噛み切れる程の力があることを、忘れないようにしましょう。
・ツタウルシ
危険度:★★★
ウルシ科ウルシ属 学名:Rhus ambigua
樹木などに生えるつるのようなウルシで、そのつるの裏側にクワガタムシなどが隠れていて、採集する時にかぶれる場合が多く、ウルシ科の中でも特に毒性が強いので、近寄るだけでかぶれる人もいます。秋には紅葉し、とても綺麗です。
・ヤマウルシ
危険度:★★
ウルシ科ウルシ属 学名:Rhus trichocarpa
山中を歩くときは草木をかきわけて入る為に本人が気づかないでうるしの葉や幹に触れる場合もあります。
かぶれる人とかぶれない人がいて、かぶれたところは最初はぶつぶつ赤く腫れます。治る頃にはかゆくなります。
早く腫れを治すにはステロイド剤を塗ると良いでしょう。(マキロンかゆみどめ液、ウナコ-ワA、オイラックスデキサ軟膏など)
・ヤマハゼ
危険度:★
ウルシ科ウルシ属 学名:Rhus sylvestris Sieb. et Zucc
大きくなる木で、小さい木の葉は赤紫色を帯びる。山中でよく見かけますが、皮膚の弱い人は触るとかぶれる恐れがあります。葉は長細く細い毛が多く生えて、紅葉も美しい。
・ヌルデ
危険度:★
ウルシ科ウルシ属 学名:Rhus javanica
ウルシなどに比べるとかぶれにくいですが、皮膚が敏感な人はすぐにかぶれます。
木の高さは5~6mほどで全体が灰白色になる。
・センニンソウ
危険度:★
キンポウゲ科学名:Clematis terniflora
山林に多く見られ、葉や茎汁に触れると皮膚は赤くなり、発疹及び水腫ができます。
キンポウゲ科の植物には毒があるものが多く、日当たりの良い場所に咲いています。
ウルシに被れると赤い発疹が出てくる。1週間はかゆくてたまりません。
・ドクガ
危険度:★
ドクガ科 学名:Euproctis subflava
毛には毒があり危険。毒毛を持ち,触ると皮膚炎を起こし、痛がゆく赤い発疹ができます。 幼虫はクヌギなど樹木の葉を食べます。発生時期は5~8月頃で成虫は灯火によく飛来する。
・ニホンヒキガエル
危険度:★
ヒキガエル科 学名:Bufo japonicus japonicus
普段昼間は樹木の根元の部分や、洞の中で隠れている。
夜になるとはいだして、灯火の明かりや樹液に集まってくる昆虫を捕食する。
耳の後ろにある耳腺や背中などにあるイボから、白い有毒性の粘液を分泌しますので、ふれた場合はよく手洗いする必要がある。
・アカハライモリ
危険度:★
イモリ科 学名:Cynops pyrrhogaster
フグと同じテトロドトキシンという毒をもっていて、
イモリは危険を感じると体から毒をだします。触れたら手をよく洗いましょう。
・野バラ
危険度:★
バラ目バラ科 学名:Rosales Rosaceae
野草と同じ場所に生えていて、固いトゲのある茎を持ち、つる状のものもあります。茂った草をかきわけて山に入るときに、皮膚を切られないように注意しましょう。
・その他気をつけたい動植物たち
危険度でいえば★がつくかどうか判断しかねるところですが、一応気をつけたい動植物たちを紹介します。
【オニグルミ】クルミ科 学名:Juglans
かぶれにくいですが、皮膚が敏感な人はすぐにかぶれます。
実が硬く、リスたちの大好物です。
【ヤマビル】 ヒルド科 学名:Annelida
山中にも生息していて体の前後に吸盤があり、採集者が近づくと素早く近寄り吸血します。
吸血されても痛みを感じることが少ないので気づきません。
もし吸血されたら抗ヒスタミン剤を塗るようにします。
湿気の多い雨上がりなどは注意が必要で、田んぼや水田に多いのはチスイビルです。
【アオバアリガタハネカクシ】 ハネカクシ科 学名:Staphylinidae
成虫は湿った地表にすみ、木の根元や岩の下に見られ灯火にも飛んできます。
毒性も強く卵、幼虫、蛹、成虫のいずれも、有毒成分もっています。
成分に触れると発疹ができ中々治りにくいようです。灯火採集には気をつけましょう。
【クヌギカレハ】カレハガ科 学名:Cyclophragma undans
毒毛を持ち,刺されると激しく痛んだ後にかゆみを生じ,ときに発熱することもある。
クヌギなど樹木の葉を食べる。
【クロシタアオイラガ】 イラガ科 学名:Parasa sinica
イラガ科の中での毒毛は強く刺されると激しく痛み症状が長引きます。
年2回発生し、幼虫は6~7月と8~9月に見られます。イラガ科の幼虫はすべて刺します。
クヌギなど樹木の葉を食べます。