虫屋ドットコムのオリジナル血統「Kawajiri」の紹介です。

 

・01 「kawajiri」とは?

 

当店が大阪府豊能郡豊能町川尻にて採集した個体から毎年累代飼育を行ない、その中から作出したすばらしい個体を「kawajiri」という名称を付け、累代飼育を行なっている当店の誇れる美形のオオクワガタです。

美形の三要素として、ディンプルのないきれいな個体、アゴが太い個体、体格のいいバランスのとれた個体を基準に選んでおります。

 

・02 川尻とはどんな所?

 

大阪の北西に広がる一帯を豊能郡と呼びますが、豊能郡は豊能町と能勢町からなっております。能勢町はオオクワの産地として有名な場所ですが、その隣の豊能町にもオオクワが生息している場所はたくさんあります。川尻はその中のひとつで、植林地域の杉林と広葉樹林が混在しているところです。また、関西特有の台場クヌギもあります。

 

・03 kawajiri誕生!

 

我々は十数年前から能勢町、豊能町でたくさんのオオクワを採集してきました。十年ほど前に初めて川尻で採集してから数年後の1996年の5月、川尻にて1頭の♂のオオクワを見つけました。その♂はあごに特徴のある個体で、その個体を基にブリードをしてみるとその子供も親と似たような形をして羽化してきました。

それならばということで羽化した中で♀はできるだけ太いものを、♂はできるだけ親の形状を継ぐものを掛け合わせて現在の「kawajiri」を作り上げました。

 

・04 川尻産として…

 

我々は今までに川尻では10頭ほどのオオクワガタを採集しました。その比率は他の産地等と比べて非常に少ないものです。その中には飼育下では考えれないような個体もいました。それは自然下における幼虫時代の生育環境の違いによるものです。

念のため申し上げておきますが、 川尻産だからいい個体というわけではなく、たまたま、川尻にてすばらしい個体にめぐり合えただけのことです。

・05 川尻に思うこと

 

我々は2000年の夏に♀を採集して以来、川尻では1頭も採れていません。幾度となく通ったのですが、もう川尻ではオオクワの生息は皆無ではと思われます。しかし、もっと残念なことは行くたびに木々の形状が変わっているということです。現在、我々はもう川尻とは違う場所で採集しております。しかし、飼育や採集の楽しさや難しさを教えてくれた川尻産オオクワガタの名前を残したくて、自己満足ではありますが、「kawajiri」という血統を作り、守っていきたいと思っております。

・06 Black Grace 登場!

 

お客様の中で究極の個体作りを目指している方がおりました。極太を作出することにかけては右に出るものはないといわれておりましたが、極太をさらに突き進めていきたいために「kawajiri」とかけ合せたところ、より極太の個体が羽化してきました。

 

そして試行作後、累代を重ね、極太血統を作り上げ、それを「BlackGrace」と名づけました。その個体を見たときに鳥肌が立つくらい太くてきれいなオオクワガタでした。

 

このすばらしい血統を広めていきたいと販売権利を譲っていただき、「kawajiri」と並ぶ当店の主力商品として扱いはじめました。

 

そうです、「kawajiri」という樹は、「Black Grace」という枝を作り、進化し始めました。

※画像はほんの一部ですが、これ以外にもさらに極太の個体も存在します。

・07 kawajiri と Black Grace

我々は「kawajiri」という血統を守っていかなくてはなりません、また、川尻を含むオオクワガタの生息地を守っていかなくてはなりません。

しかし、我々は進んでいかなくてはなりません。

オオクワ飼育の楽しみを広めると同時に理想とする究極の個体作りに。

異産地を掛けた「Black Grace」に産地名はありません。

人がグッピーやディスカスを作り出すようにオオクワガタも理想とする美形極太個体を作っていくこともオオクワ飼育の楽しみのひとつではないでしょうか。

「産地派と血統派」それぞれの頂点に「kawajiri」と 「Black Grace」はあるものと自負しております。

・08 歴代kawajiri種親データ

ここに、kawajiriの歴代の種親のデータを掲載します。

歴代kawajiri種親データ

 

・09 kawajiriの歴史

1987年~1988年頃に大阪府豊能郡豊能町川尻にて初めての川尻産を採集。

 

1994年に樹液にて採集した『♀a38ミリ』(持ち腹)から生まれたものから累代を開始する。

 

1995年に朽木崩しにて新成虫『♂a59ミリ♀b39ミリ』を採集して累代を開始する。

 

1996年にkawajiriの源流となる『♂b65ミリ』を樹液にて採集。

 

1997年に『♀a38ミリ』を累代した(♀a42ミリF2)と源流となる『♂b65ミリ』を交配させる。

 

1997年に『♂a59ミリ♀b39ミリ』から累代した(♀b42ミリF1)(♀c44ミリF1)と源流となる『♂b65ミリ』を交配させる。

 

1997年に新成虫『♀d35ミリ』を朽木崩しにて採集する。

 

1997年に源流となる『♂b65ミリ』が『♀d35ミリ』との交配を最後に没する。

 

2002年に『♂b65ミリ』と(♀a42ミリF2)を交配させて累代を進めたものからkawajiri(A血統)が誕生。F2

 

2002年に『♂a59ミリ♀b39ミリ』を累代してもののうち、源流となる『♂b65ミリ』の遺伝子が入ってない系統からkawajiri(C血統)が誕生。F3(源流となる『♂b65ミリ』の遺伝子は入っていません。)

 

2001年に『♂b65ミリ』が新成虫『♀d35ミリ』を累代して進めたものからkawajiri(E血統)が誕生。F32001年に『♂a59ミリ♀B39ミリ』を累代、戻し交配したものからkawajiri(B血統)が誕生。F2(源流となる『♂b65ミリ』の遺伝子は入っていません。)

 

2002年に『♂b65ミリ』と(♀c44ミリF1)を累代したものからkawajiri(D血統)が誕生。F2

 

2002年に『♂b65ミリ』と(♀b42ミリF1)を累代したものからkawajiri(F血統)が誕生。F3

 

2003年にA血統を累代したものからkawajiri(G血統)が誕生。F3

 

2003年にB血統を累代したものからkawajiri(H血統)が誕生。F3

 

2003年にB血統を累代したものからkawajiri(I血統)が誕生。F3

 

2003年にD血統を累代したものからkawajiri(J血統)が誕生。F3

 

2004年にG血統を累代したものからkawajiri(K血統)が誕生。F4

 

2004年にI血統を累代したものからkawajiri(L血統)が誕生。F4

 

2005年にI血統を累代したものからkawajiri(M血統)が誕生。F4

 

2006年にA血統とC血統の累代を続けたものからkawajiri(N血統)が誕生。F4

 

2006年に『♂b65ミリ』と『♀d35ミリ』を累代して続けたものとF血統との交配によりkawajiri(O血統)が誕生。F1

 

2007年にB血統とJ血統を交配して累代を進めたものからkawajiri(P血統)が誕生。F2

 

2007年にM血統とJ血統を交配して生まれたものからkawajiri(Q血統)が誕生。F1

 

2007年にO血統とK血統を交配して生まれたものからkawajiri(R血統)が誕生。F1

 

kawajiriの特徴

【A血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、大アゴが大きく全体的に太い個体。

 

【B血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、全体的に丸みがあり、独特な個体。

 

【C血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、頭部、前胸、上翅とのバランスがよく、全体的に太い個体。

 

【D血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、体表の角質が細かくアゴを強調した個体。累代は浅いのですが、♂♀ともに大型が羽化しており、大型が羽化する確率の高い血統です。

 

【E血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、アゴに湾曲があり頭部が大きい個体。全体的にガッチリタイプです。

 

【F血統】♂の特徴はkawajiriの中でも特に大型でアゴはストレートタイプです。

 

【G血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、スレンダーで内歯のエッジが鋭く顎のラインが綺麗な個体。A血統からの子供

 

【H血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、内歯のまわりに太さを感じます。全体的にガッチリタイプです。A血統と似ておりA血統の血を受け継ぐ個体です。

 

【I血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、体表の角質が細かく綺麗な個体です。兄弟の♀で53ミリが羽化しております。

 

【J血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、前胸が太く、ずんぐりタイプJ個体♂はD血統を累代して誕生しました。早期で大型が羽化。

 

【K血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつアゴ太を強調した個体です。

 

【L血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ、顎と前胸のサイドラインが綺麗なバランスがとれた個体

 

【M血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつ頭部と前胸のバランスがよく全体的にガッチリタイプです。

 

【N血統】♂の特徴はkawajiri特有の美形を保ちつつアゴを強調した個体です。K個体を少し太くした感じです。kawajiri血統の中では特にN系統の♀が一番大型化しております。

 

【O血統】♂の特徴はkawajiri(F血統)の流れを汲む全体的に太く綺麗な個体です。現在のところkawajiriの中でも大型個体の羽化率が高い血統です。

 

【P血統】♂の特徴はkawajiriの中でも特に大型の♂が羽化しております。種親♂は湾曲があり全体的に太い綺麗な個体です。B血統とD血統の流れを汲みます。

 

【Q血統】♂のQ個体の特徴はkawajiriの中でも自然で風格ある武骨な個体です。♀も大型でくびれがある武骨な個体。 M血統とJ血統の流れを汲みます。

 

【R血統】R血統はkawajiri(O血統♂)と(K血統♀)の流れを汲みます。♂の特徴はO血統の全体の太さとK血統の顎を兼ね備えた個体です。

 

【S血統】♂の特徴はスレンダーなのに大顎が大きく、kawajiriの美しさ、魅力がひきたつ個体です。N血統を大きくした感じです。M血統とN血統の流れを汲みます。♀はkawajiriの中でも一番の大型が誕生しました。(52ミリ)写真館をご覧下さい。

 

【T血統】2002年に♂b65ミリと♀a42ミリF2を交配させて累代を進めたものから誕生しました。美しくて、バランスがよく、顎幅が太い、三拍子がそろった魅力ある個体。kawajiriの中では血量の濃い血統です。

 

【U血統】顎は源流となる『b65』の湾曲を受け継いでおります。全体に太く顎の太さはトップクラス。系統の流れはP血統とQ血統の交配から2009年に誕生しました。