冬山に眠る昆虫たちに、会いに行こう。
・冬季採集
冬季採集の期間:11月~4月冬季採集は夏場とは全く別のスタイルの採集法です。
越冬しているカブトムシやクワガタムシを、朽木崩しや落ち葉を掘り起こして採集します。
採集時期も長く、夏場と違った昆虫達にも出会え、また澄んだ空気と爽やかな空気のもとで採集していると日頃の疲れも一気に吹き飛びます。
自然が育んだ素晴らしい景色を眺めながら冬季採集を楽しんでみませんか?
・採集スタイルと使う道具
●バール付トンカチ、スコップ
●ナタ (草木などをかき分けます。取り扱いには注意が必要です。)
●ルアーケース (捕まえた成虫(幼虫)を個別に管理するのに便利です。)
●防護メガネ (粉砕した木屑から眼を保護する。)
●温度計
●ドライバー
●軍手、長袖、長ズボン、タオル、帽子、長靴
・カブトムシ
カブトムシの成虫は落ち葉や朽木などの腐植土化したところに産卵し、幼虫はその腐葉土を食べて大きく成長します。
冬場の積み肥では寒さを凌ぐため中心部にもぐり、同じ場所に集まり冬をすごします。そこで丁寧にスコップなどで掘り起こして採集します。
・①広葉樹の根元付近の落ち葉の集まったところ。
・②倒木の腐植土したところ
・③稲や麦の稲や麦のワラなど堆肥
・④立ち枯れの腐植土化した部分
・クワガタムシ (朽木崩し)
朽木崩し採集は11月~4月頃が適しています。クワガタの幼虫はクヌギ、コナラ、ブナ、エノキ、などの広葉樹の朽木(立ち枯れ、倒木、切り株、)に生息しています。オオクワガタの♀はカワラダケやウスバダケなどの白色腐朽菌によって、白枯れした朽木に好んで産卵します。
・こんな場所です。
夏場にクワガタ達が集まる木の近くにある朽木を探します。
クワガタ達は生木には生息しておりません。
半枯でも採集できますが、小型の幼虫が多く、木を崩すことにより、崩した場所から雨が進入してきて、樹木全体を枯らすことになります。
(特集「クヌギに集まる生き物」をご覧ください。)
・すみわけ
クワガタ達は同じ朽木でもすみわけをしています。オオクワガタ、コクワガタの幼虫は上部、中央部、ノコギリ、ミヤマクワガタは下部から木の根部。ヒラタ、アカアシクワガタは中央部から木の根部に多く、クワガタ達は生活場所を分けあって生活し、競争を回避しています。(すみわけ)しかし、中にはノコギリクワガタが立ち枯れの上部にて採集されたり、オオクワガタが木の根部から採集されるケースもあります。
・朽木は慎重に崩します。
幼虫の見つけ方は木を崩しながら食痕を探します。
食痕を見つけたら慎重に崩します。食痕は幼虫が成長するにつれて、大きく(太く)なるので、太くなる方向に食痕を追いかけ成虫(幼虫)を採集します。
採集したら気温や朽木の種類などデーターを録っておくようにします。
・野外幼虫はとってもデリケート(環境ならしについて)
野外幼虫はとってもデリケートです。
特に12月~3月頃の幼虫、成虫はとってもデリケートです。山の気温は低く、幼虫は冬休眠に入っていて、幼虫の外見も透明感があり、温室で育った幼虫とは異なります。
また、体内の構造(分泌物)が変化している為、急激な温度変化は避けるようにします。
冬休眠個体を飼育する場合は、少しずつ温度を上げていき、いきなりの菌床飼育は禁物です。
すぐにエサは食べませんが、採集した朽木の崩しカスを持って帰り、ミキサーなどで粉砕して与えます。そして、少しずつ環境に慣らしながら飼育しましょう。